融合と自立と…

知的障害・発達障害をもつ人 支援者 への支援雑記

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新年あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。

昨年は、時期で言うとリーマンショック以降、大変な状況に見舞われました。
いやはや、鍛えられます。
中でも、一番の大事は、提携企業の業務縮小に伴う、直接就労支援事業休止という事態です。
この話をすると、
「えっ?障害者を支援するNPOにも、そういうこと(世界経済の動向)って影響するの??」
と言われます。
あるのです。それも、もの凄くダイレクトに。
あるから価値があるのです。

もちろん、直接の影響が大きすぎると運営経営が落ち着かない(僕らがホームレスになってしまう)ので、それは程々にでないと拙いのですが…。
従って、このままの形で良いとは思っていません。継続できない法人活動はあまり意味がないと思っています。継続できる形にしていくというのが、今年のテーマになるでしょう。
当たり前すぎて、基本的すぎて、実にお恥ずかしい話です。

我々は、一般企業同様、企業内で働いて得た収入のみが糧になっていますから、今回の様な理由で提携する企業を失うと、その時点で直接支援という活動(場合によっては法人の活動)を停止せざるをえなくなります。
そんな中、僕らの支援から離れ、這いつくばる様にして一般企業就労へと繋がっていった知的障害者も出てきました。
大勢の失業者が厚労省の講堂目指して行進するこのご時世に…。
まさに、『災い転じて-』です。
大変な混乱の中、最善の判断をしたという自負はあります。

話は変わります。

今回の不況に伴う活動縮小に似た状況が、以前にもありました。
その時、ある知的障害者は、我々NPOから離れざるを得なくなり、僕も八方手を尽くし、彼は何とか一般企業への就労を果たしました。
彼の名は、静夫といいます。その時の年齢は38才。知的障害を持つ母さんと家族に支えられて、どうにか地域で暮らしてはいました。
静夫は、ある方法(知る人ぞ知るで、実に色々な方法があります。)で金を手に入れると、寅さんの様に旅に出てしまう人で、とても一般就労は無理…とささやかれた人でした。

寅さんは、我々の処に流れ着き、当然、僕との対決もありました。
三ヶ月ほど我々の下で働いた彼は、仕事もまずまずこなせるようになり、
(さて、この人のどこが障害になって、就職できずにいるのだろうか?)
と、僕が思い始めた矢先のことです。
かれは、もらった工賃を手に、フラリと旅に出てしまいました。
一ヶ月の豪遊期間を経て、静夫は何の悪びれた顔もみせず、帰ってきました。
しかし、驚いたのはその後のご挨拶でした。
静夫は、挨拶もそこそこに、極めて緻密な観察と判断で、不正に工賃を得ようとしたのです。
「○月×日に出た工賃はもらっていません。△□円足りませんでした。」
と、妙に飄々として威圧感を持って食い下がる静夫に、
「いや、確かに渡した!」
と、彼の眼をのぞき込みながら、僕は応え続けました。
彼の経験からいって、水掛け論に持ち込めば必ず静夫の手に入るはずの金を、僕は渡しませんでした。
静夫は嘘をついている。そういう確信が僕にはありました。
しかし、物的証拠はどこにもありません。そして静夫は、恐ろしいことに、証拠がないことをしっかりと確認した上で、僕に食い下がってきているのです。
静夫の『嘘』を『誠』にしてしまえば、彼は旅から二度と戻ってこられなくなります。
物理的には拘束できるかも知れませんが、精神的にはアテのない旅を続けることになるのです。
誰かが止めなくてはいけない。それを静夫のニーズと呼んで良いのかどうかは、僕には分かりません。
しかし、戻ってくるところのない旅は、長期的に見れば苦痛でしかありません。勿論、静夫はそんなことまで考えません。
(粘ればやがて『嘘』は『誠』になる。そういう経験知が、彼を不敵に飄々とさせているに違いない。)
僕は、そのように直感しました。直感だなんて、全く論理的ではありませんが、目の前にいる静夫もまた、論理を超えた何かに突き動かされていることは確かです。
長い時間、僕と静夫は会社の前を通る歩道に立ち尽くし、眼を覗き込み合って水掛け論に挑みました。
最終的に彼は、その歩道の上で、
「わかりました。今度から、気づいたら手をつけずに、すぐに言う様にします。」
という言葉で締めくくりました。
あくまでも、自分が嘘をついたという証拠を残さずに、手を打ったわけです。
僕もそこで手を打ちました。あらゆる意味で、ギリギリだったと思います。

その後、静夫は根気強く仕事に励み、寅さんに豹変することもなく過ごしました。
僕としては、当然、想定の範囲内の出来事でしたが…。
このての問題課題に直面すると、いつも、
(知的障害っていったい何だ??)
と思います。
もしかしたら、あの時、僕たちが彼の誤った経験知を砕き、再スタートを切らせたことで、彼は別の世界、つまり、気質の世界を経験する切っ掛けを得たのかもしれません。

その彼は今、大手企業の大規模な店舗内で、毎日汗を流して働いています。
もちろん、この先何があるのかは分かりません。
でも、社会保険も所得保障も満足にない僕よりは、よほど安定した職業についている彼を想うとき、
(よかったじゃないか。)
と、素直に感じます。

☆☆☆

そんなこんなで、今年はどうなることやら。
NPOとしては、存亡の危機にあるということは確か。
でも、NPO法人がどうのこうのなんて、あまりこまいことは云わず、よりよい社会を作っていく様な活動をしつつ、生活が何とか出来ればいいと思います。

本年も、よろしくお願いいたします。

テーマ:私たちにできること - ジャンル:福祉・ボランティア

コメント

Re: 砕く

本当に、『砕く』事の多いこと多いこと…。

砕く

>もしかしたら、あの時、僕たちが彼の誤った経験知を砕き、再スタートを切らせたことで、彼は別の世界、つまり、気質の世界を経験する切っ掛けを得たのかもしれません。

砕く事で別の世界へ移行した感じですね。とても頷けます。
自分一人では出れない枠。
砕いてやる事が最良の時ってありますもんね。

Re: 明けましておめでとうございます

新年早々、僕も子どもと一緒に風邪をひいております。
はやっているようですが、何だかグズグズした風邪で、いやですね。
今年はチャンスを待つ時間が多くなりそうな予感がします。
そういう時期はそういう時期で、蓄積できることが多くあるかもしれません。
そんなこと言いながら、見た目だけでも元気に行こうと思っています。
また何かありましたら、お声をおかけ下さい。
今年もよろしくお願いします。

明けましておめでとうございます

昨年は突然の訪問にご対応くださってありがとうございました。
大変な時期だったのですね。
>いやはや、鍛えられます。
このバイタリティを煎じて飲ませていただきたいと・・・

昨年末ひいた風邪が、ぐずぐずと長逗留してまして、今日は新年早々休んでしまいました。

施設に賀状頂きながら失礼してしまいました。今年のご活躍をご祈念申し上げます。

  • 2009/01/07(水) 11:55:28 |
  • URL |
  • 哲老 #4bPc0PO2
  • [ 編集 ]

Re: 旧年中は

こちらこそ、宜しくお願いします。
今年の年末は、
「いい年だったねぇ!」
と言っていることを想像して、少しずつ前進しましょう。

旧年中は

大変お世話になりました
こころの底から、有難うございます

あの人もこの人も、
あの母ちゃんやあんな父ちゃんも、先生方も
高原さんとの出逢いにより
実質的に大きな変化が加わっています

大きなものに依存せず、否定せず
我武者羅に進む高原さんの後ろ姿は、必ず誰かが見ています

give & take

融合する日は、必ず来ます

少しは、ゆったり解れる新年でありますよう
お身体には、気をつけて下さい

本年も、よろしくお願い致します☆

  • 2009/01/04(日) 20:29:04 |
  • URL |
  • aa2 #-
  • [ 編集 ]

こちらこそ、よろしくお願いします。

どうなることやら、ですが、まずは宜しくお願いします。
色々と情報交換できると良いと思います。

今年も宜しく御願いします。

今年も素晴らしい文章をまた拝見できると思うと嬉しいです。
今年も宜しく御願いします。

  • 2009/01/04(日) 12:56:57 |
  • URL |
  • ラスカルスズカ #8soljQnI
  • [ 編集 ]

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